為替レポート 2017年11月

マーケット概要

10月は米ドルが、ユーロ、ポンド、円に対し堅調に推移。今後、ユーロ/米ドルは、引き続き下落が予想され、ポンド/米ドルでは、1.300ドルの主要なサポートラインをトライしつつ、米ドル/円相場では、1ドル115.00円台突入を試みる展開となりそうだ。

  • ECBハト派な姿勢受け、ユーロ相場は下落の展開となり、ユーロ/米ドルは1.1700ドルを下げ抜け
  • ブレクジット交渉の難航と遅れが続く中、ポンド/米ドルは1.3000 ドルの主要サポートエリアを目前に上値の重い展開
  • 米ドル/円では、堅調に上昇し、1ドル115.00円を突破する見通し

米ドル

米ドルは、先月は大幅に上昇する流れとなり、今後も堅調に推移するだろう。悪材料となりえる国内経済指標の発表がいくつかあったが、米ドルは下落相場へと転じずとなった。主に、好材料となったのは、2017年第3・四半期(前期比)GDPが3%の上昇となったことである。

ファンダメンタル分析:

  • 米労働省が発表した2017年9月の非農業部門雇用者数は、市場予測の90,000人の増加を下回り、前月比33,000人減となった。また、8月の156,000人は、169,000へと上方修正となった。
  • 2017年9月米国失業率も4.4% から 4.2% への減少
  • 2017年9月米国消費者物価指数は、前年同月比で 2.2%上昇となり、先月の1.9%増を上回る。
  • 米商務省が発表した第3・四半期の国内総生産の速報値は前期比年率で3%増となり、市場予測2.5%増を上回る。

11月発表予定の米国経済指標の中では、2017年10月の非農業部門雇用者数が主要イベントなるだろう。市場では、前月の33,000人減だったものの、300,000人増と堅調な結果が予想されている。200,000人を超える増加となれば、米ドルは強含みし、目先ではさらに続伸すると見られる。次に注目される指標は、11月15日発表の2017年10月の消費者物価指数となる。結果が2%超えとなれば、ドル相場の安定材料になるだろう。

金価格、弱気相場へ転ずる?

金相場は、2017年10月中旬、$1300-1310で取引されたが、上値圏内を維持できず、直近の値動き上値$1357、下値$1204で形成されるフィボナッチ61.8%近辺を試す下落相場となった。

Gold price chart

現在は、$1260付近のサポートと$1295付近のレジスタンスで三角持ち合い相場が形成されている。どちらか一方のラインを抜ければ、さらなる値幅拡大の動きとつながるだろう。

下落が続く場合、200日移動平均線(緑)近辺にある$1260が主要サポートとなりそうだ。また上昇場面では、日足で$1300上での取引となれば、$1350あたりまでの上昇が見込まれる。

日本円

10月の日本円相場、重たい値動きの中、主に米ドルに対し下落の展開となった。米ドル/円は、112円台で堅調に推移している。

ファンダメンタル分析:

  • 2017年9月の日経製造業PMIは、 52.6 から 52.9へ上昇。
  • 2017年9月の財務省発表の季節調整済の貿易収支は2403億円の黒字, となり、予測の3179億円を下回った。
  • 総務省が発表した2017年9月の消費者物価指数(前年比)は、市場予測どおりの0.7%の上昇だった

全体的には、円相場に対し好材料となったが、市場心理は米ドルや他の主要通貨への好感が勝る形となった。11月中の米ドル円の動向は、主要な高値圏へ向けて上昇する中で、テクニカルな構造が重要となりそうだ。

米ドル円相場は、トリプルトップ形成となるか?

米ドル円相場は、この一か月間、流動性が多く、1ドル112.50円付近のレジスタンスエリアを上抜けする展開となった。しかしながら、同ペアは現在、1ドル114.50-115円ちょうど付近の大きな壁に直面している。

USDJPY chart

前述した114.50-115.00円付近は、以前にも2度ほど買い手にとっての主要なハードルとなったこともあり、現在も苦戦をしている。日足チャートを見ると、114.50付近での3度目のトライも失敗となる可能性が高い。

米ドル円が114.50-115.00でのトリプルトップを形成すれば、急落の展開が数週間続く可能性がある。下落局面では、1ドル112.00-112.50円がサポートエリアとなりそうだ。

一方で、115円ちょうど抜けを達することができれば、さらなる上昇が見込まれる。次の買い手にとってのハードルは、1ドル118円となるだろう。 118.00円を超えれば、 120.00円台が見えてくる。

ユーロ/円 と ポンド/円 – 円に対する両方の主要通貨では、日足で短期的な高値をつけているように見受けれられる。米ドル円相場が下落に転ずれば、対ユーロと対ポンドでも日本円は強含みすると考えられる。

ユーロ/円では、129円と128円で主に取引され、高値圏は、134.50円と 135.00円であろう。ポンド/円では、147.50円、続いて、 146.00円で買いが強い。一方、売りは、152.00 円と153.00円でみられる。

ユーロ

ユーロ相場は、全体的にベア相場となったり、この数週間でのECBの動向やハト派な発言によりユーロ/ドルは下押しされる展開となった。また同中央銀行では、QEプログラムを300億ユーロに半減する言及している。

ファンダメンタル分析:

  • 2017年9月のユーロ圏内製造業購買担当者指数 (PMI) 58.2 から 58.1
  • ECBは政策金利 -0.4% 据え置きとハト派。
  • 2017年9月のドイツ消費者物価指数は、市場予測どおり、1.8% 上昇(前年比)。
  • 2017年9月のユーロ圏内消費者物価指数は、市場予測どおり、1.5% 上昇(前年比)。
  • 2017年8月のユーロ圏鉱工業生産は、市場予測の1.5%増を上回る3.8%増 (前年比)。
  • ドイツの欧州経済センターによる2017年10月の景気期待指数は、17.0から17.6と上昇したが、市場予測の20.0を下回った。

ユーロ圏内のCPI消費者物価指数は、約1.8%付近で安定しているが、ECBの期待値を下回っている。同中央銀行のハト派的スタンスはユーロ相場の上値を重くし、11月中もユーロ/ドルの下落幅を広げる展開となるだろう。2017年11月の同圏内主な経済指標は、2017年10月ドイツの失業者増減 (市場予想11,000人減、前回値23,000人減)、ユーロ圏内のCPI(市場予測では、1.8%の安定を維持)、また2017年10月ドイツのCPIとなるだろう。

ユーロ/ドル弱気相場を維持

2017年10月ユーロ相場は、米ドルに対して、1.1850の上値圏を抜けることができず、下落の展開となった。ユーロ/ドルは、直近の値動き下値1.1189ドル上値1.2091ドルで形成されるフィボナッチ23.6% エリアと下抜けしている。

USDJPY chart

同ペアは、100日移動平均線(赤)も下回り、1.1750ドルより下へ推移するの前兆を見せている。下落はさらに加速する見通しで、今後、目先では1.1500ドルのサポートも下抜けすると考えられる。

上昇する展開となれば、日足チャート上の、1.1770ドル付近の主要レジスタンスに直面することとなる。1.1770ドルの終値を付ければ、更なる上昇に向けては、1.1800ドルが買い勢の次のハードルとなる。

日足のRSIが大きく50を下回っており、下方向を示していることから、ユーロ/ドルが 1.1750を下抜けする下方シグナルが強いと見られる。主な下値サポートは、1.1500 と 1.1420ドルとなっている。

英ポンド

ブレクジット交渉の難航は、ポンド相場の圧迫要因となっている。さらに、米ドルに対する強気な相場見解によって、ポンド/米ドルは急落する展開となった。

ファンダメンタル分析:

    • 英国統計局が発表した2017年9月英消費者物価指数は、市場予測どおりの3%上昇となり、前年比の2.9%を上回った。
    • 英国国内の小売売上高は、市場予測の+2.1%を下回り、1.2%増加(前年比) に留まった。
    • 英第3・四半期の暫定的国内総生産は、予測の+1.4%以上の +1.5%となり、前回の+1.5%と同様の結果。

2017年11月3日に発表予定の、英国中央銀行の政策金利決定は、0.25% から0.50%へ引き上げが予想されており、ポンド相場にや大きな影響を与えることになるだろう。

ポンド/ドル 重要なサポートアプローチ

ここ数日、ポンド/ドルは軟調な値動きとなっている。先週は、1.3300ドルのレジスタンスをトライしていたが、ブレイクには至らず、買い勢は苦戦を強いられている。

結局、1.3200ドル台への下落に転じる展開となった。同ペアは、現在、直近の値動き下値1.2773ドルから上値1.3657ドルで形成されたフィボナッチ61.8%付近で、推移をしている。

USDJPY chart

下落が続いた場合、100日移動平均線(赤)の近辺となる1.3050ドルが最初のサポートエリアとなりそうだ。しかし、最も重要なサポートエリアは1.3000 ドル付近となり、同エリアを付ければ強気相場のトレンドラインが日足チャート上で見えてくる。

同ペアは、1.3000ドル近辺で強い買いが集まると予想される。このあたりで、下降が抑えられれば、同ペアは1.3200、さらには1.3300ドルまで上昇に転じる可能性も大いにある。一方で、 1.3000ドルを下抜けした場合、下落幅は1.2800ドルまで拡大されるであろう。

要約

USD/JPY

米ドル円相場は目先の動向が、非常に重要となる。115.00円を抜けるか、または弱気に転じるが注目される。
EUR/USD

ユーロドル相場は、弱気圏内に回帰しており、売り優勢な相場が続けば、この先2-3週間、1.1400ドルに向けて下落が続くであろう。
GBP/USD

最後に、ポンドドル相場は、1.3000ドルのサポートを耐えることが出来るかが、長期的なトレンドのカギとなる。



Aayush Jindal

Aayush is a Senior Forex, Cryptocurrencies and Financial Market Strategist with a background in IT and financial markets. He specialises in market strategies and technical analysis, and has spent over a decade as a financial markets contributor and observer. He possesses strong technical analytical skills and is well known for his entertaining and informative analysis of the currency, commodities, Bitcoin and Ethereum markets.

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