為替レポート 2017年12月

マーケット概要

11月は、ユーロ/米ドルとポンド/米ドルなどの主要通貨が重要なサポートレベルを上抜けして取引されたことから、米ドルは弱気相場へと回帰した。その一方で、米ドル/円は、節目のレジスタンス114.75-115.00を抜けきれず、113円台割れとなった。

また、米ドル相場は、FOMC議事録のハト派な内容が、12月の利上げに対する不安を呼び、下落する展開となった。しかし、米国内総生産(GDP) の堅調な伸びや消費者物価指数上昇に対する期待が、今後米ドル相場の好材料となりそうだ。

主なハイライト

  • 市場では、12月の利上げに対する期待が高まる中、ハト派な内容となったFOMC議事録が、引き続き米ドルの上値を重くする見込み
  • ポンド/ 米ドルは、堅調な動きとなり引き続き1.3600へ向けて上昇する見通し
  • 米ドル/円においては、112円割れが節目となり、111円台を維持できなければ、さらに下落する展開となる見込み


米ドル

2017年11月における米ドル相場は、ユーロ、ポンド、円を含めた主要通貨に対して、下落した。米国消費者物価指数は、2%近くに留まったことと、FRBのハト派な姿勢が、米ドルの上値を重くした。そんな中、主要な経済指標の中では、GDPの改定値は同通貨に対する好材料となった。同結果によれば、市場予測3.2%増、また、速報値3.0%増だったところ、GDP改定値は3.3%増となった。

Real GDP: percent change from preceding quarter

11月発表の指標結果:

  • 2017年10月のADP民間雇用者数は、市場予想の200,000人増に対し、235,000人増となった。しかしながら、9月分は、135,000人増から110,000人増へと下方修正されている。
  • 米労働省が発表した2017年10月の非農業部門雇用者数は、市場予想の310,000人増を下回り、前月比
    261,000人増となった。一方、前回の33,000人減が18,000増人へ上方修正され好材料となった。
  • 2017年10月米国失業率は、4.2%から 4.1%へと減少。
  • 10月の米国消費者物価指数は、市場予想同様、前年同月比2.0% 増であったが、先月の2.2%増しを下回る。
  • 米商務省が発表した第3・四半期のGDPの改定値は、市場予想3.2%上回る 3.3%増と上方修正された。

2017年12月は、クリスマス休暇に先駆けて、ボラティリティの高い相場になることが予想される。市場参加者の中では、非農業部門雇用者数、消費者物価指数、そして、最も重要なFRB利上げ決定に注目が集まるだろう。なお、市場予測250,000件の、2017年11月の非農業部門雇用者数が、投機的な取引を多く招くだろう。しかしながら、最も重要な原動力は、市場2.1%増予想の、11月の消費者物価指数となりそうだ。

unemployment rate chart

最後に、FRBの政策金利の発表は、投資家や専門家の中で、1.25% から1.50%への利上げに踏み切ると予想される中、最も重要なイベントとなりそうだ。もし、利上げをすれば、ユーロ/米ドル、 米ドル/円、 ポンド/米ドルのペアでは大きな値動きが見られるだろう。

金価格は、上昇トレンドを形成?

金価格は、米ドルに対し1300ドルを割ったあと、1260ドル付近でサポートされる展開となった。同価格は、現在、回復傾向であり、既に直近の大幅下落時、上値$1357、下値$1260に形成されたフィボナッチリトレースメント23.6%ラインを超える動きとなっている。

Gold price chart

XAU/米ドルの日足チャートでは、$1275-1280 近辺をサポートとする、強気なトレンドラインを形成している。同ペアは、現在、$1275、100日移動平均線(赤)と200日移動平均線(緑)を上回り、堅調な兆候を見せている。


日本円

2017年11月の米ドル/円は取引高が多い中、112円台を割る展開となった。しかしながら、同ペアは、111.00でサポートが機能し、下支えされている。

11月発表の指標結果:

  • 2017年の日本の第3・四半期GDP速報値は、市場予想1.3%増を上回る 1.4%増
  • 2017年10月の日経製造業PMIは、52.5から 52.8へ上昇
  • 財務省が発表した2017年10月の日本の貿易収支は、市場予想の3,300億円を下回る2,854億円の黒字だった。
  • 2017年9月の日本の全産業活動指数は、市場予想の0.4%減のところ、0.5%減

日本のGDPは堅調な結果となっているが、そのほかの材料により米ドルに対し、さらなる円高が抑えられる展開が予想される。

米ドル/円は回復となるか?

弊社の2017年11月レポートでは、米ドル/円のベア相場によるトリプルトップ形成を話題にした。同ペアは、このパターン形成を回避することが出来ず、114.20-114.40近辺上で、多くの売りに直面する展開となった。

米ドル/円 は、下落相場となり、直近の値動き下値$107.31から上値114.72で形成されるフィボナッチリトレースメント38.2%ライン近辺を下回る展開となった。最も重要な点は、112円台ちょうど、100日移動平均線(赤)と200日移動平均線(緑)を割ったことである。

USDJPY chart

しかしながら、111.02にある、直近の値動き下値$107.31、上値114.72で形成されるフィボナッチリトレースメント50%がサポートとして機能している。現在、同ペアは単純移動平均線(100 と 200)を上回り、さらなる回復を試みている。

従って、111円台割れを避けることが出来れば、113円台に向けて上昇する可能性がある。その反面、111円ちょうどを割った場合、109.20-109.00付近のサポートが試されることとなる。

ユーロ/円とポンド/円 – 両方のクロス円ペアは、現在も強気圏内を維持している。ユーロ/円では、131.00円台で値を固めており、さらなる上昇が注目されている。ポンド/円でも、147.00のサポートが機能し、順調に推移している。

ユーロ/円の主なサポートは、131.45 と130.00となっており、レジスタンスは134.00 と135.00となっている。ポンド/円の主なサポートは、147.00-147.20付近にあり、150.80 と152.00付近での頭を押さえられる展開となりそうだ。


ユーロ

ユーロ相場は、全体的に堅調な動きとなり、特に対米ドルで好調な相場となった。しかし、背景としては、米ドルの弱さが主な原因となった。経済面においては、ドイツ連立協議が、失敗に終わり、新たな選挙の可能性が高まっている。これらは、短期的に見て、ユーロ通貨に対する不透明感と弱さにつながる可能性がある。

11月発表の指標結果:

  • 2017年10月のユーロ圏内製造業購買担当者指数 (PMI)は、58.6から 58.5へ減少
  • 2017年10月のユーロ圏内サービス業購買担当者指数は、54.9から55.0へ増加
  • ECBは、政策金利 を-0.4% で据え置き、ハト派スタンス
  • 2017年10月のドイツ消費者物価指数は、市場予測どおり、1.6% 上昇(前年比)。
  • 2017年10月のユーロ圏内消費者物価指数は、市場予測どおり、1.4%増 (前年比)。しかし、ECBの目標とは異なり、全体的に減少傾向。
  • 2017年9月のユーロ圏工業生産高指数(季節調整済み)は、前月の1.4%増と比較して、0.6%減(前月比).
  • 2017年11月のドイツZEW景況感調査は、市場予想の20.0より低い 18.7であったが、前月の17.6を上回る。

annual inflation in the euro area and the european union

ユーロ圏における消費者物価指数は、最も重要な不安材料となっており、ECBが掲げる2%越えに向けて、上昇する必要がある。11月分は、前回の1.4%を上回る、1.6%増と予想されている。さらに、2017年11月のドイツの消費者物価指数は、1.7%へ向けて僅かな上昇が期待されており、失業推移に関しては、前回の-11,000人と並び、-10,000人が予想されている。

ユーロ/米ドル重要なレジスタンスを上抜け

ユーロ相場は、弱気相場へ転じた後、対米ドルで1.1600付近でサポートされる展開となった。その後、ユーロ/米ドルは、上昇し、直近の値動き上値1.2092、下値1.1554で形成されるフィボナッチ38.2% エリアで上抜けして取引された。

最も重要な点は、同ペアが1.1750のレジスタンスを上抜けし 、100日移動平均線(赤)より上で推移していることだ。直近では、上値1.2092から下値1.1965で形成されるフィボナッチ76.4% エリアをトライしている。

1.1960付近では、やや調整が入りそうだが、下値圏内では、1.1750付近でサポートされる展開となりそうだ。前述した1.1750は、以前の重要なレジスタンスであったが、100日移動平均線(赤)と重なることから、今後サポートとして機能する可能性がある。

EUR/USD chart

上値では、1.1960と1.200レベルが重要なレジスタンスとなるであろう。1.2000を上抜けすれば、ユーロ/米ドルの上昇幅を広げる流れとなりそうだ。


英ポンド

英国中央銀行の0.25%から0.50%の利上げ決定は、市場参加者の中で好材料と捉えられた。その後、ポンド相場は順調に回復し、ポンド/米ドルは、重要視されていた1.5000抜けを回避することが出来た。

11月発表の指標結果:

    • 英国中央銀行は、政策金利を0.25% から 0.50%へ利上げ
    • 英国統計局が発表した2017年10月英消費者物価指数(前年比)は、市場予測の3.1%を下回る3%増だったが、前回の3.0%と並ぶ結果
    • 2017年10月の英失業給付申請件数は、市場予想の2,300件よりやや少ない1,100件と中立な結果
    • 2017年10月の英国国内の小売売上高は、前月の改定値1.3%増と比較して、0.3%減(前年比)
    • 2017年第3・四半期の英国内総生産の改定値は、前回の1.5%増同様、1.5%増

UK Claimant count change

ポンド相場に関しては、2017年11月の失業給付申請件数が、2017年12月の主な焦点となるだろう。また、消費者物価指数が2.6%を維持できれば、ポンド/米ドルのペアは、強気圏内に留まる可能性が高い。

ポンド/ドル 上昇トレンド

弊社の2017年11月のレポートでは、ポンド/ドルが 1.3000-1.3050付近の重要なサポートエリアにアプローチしている点について触れた。同ペアは、この1.3000-1.3050サポートエリアをトライしたが、同エリアで買い優勢となった。

売り勢は、1.3000を抜けたところで苦戦し、底値形成の段階に入った。底値を固めた後、同ペアは、順調な上昇基調となり、直近の値動き上値$1357、下値$1204で形成されるフィボナッチリトレースメント38.2%ラインを上抜けした。

下降場面では、日足チャート上で1.3170をサポートレベルとする、重要な強気なトレンドラインが形成されており、このラインは100日移動平均線(赤)と揃っている。

GBP/USD chart

従って、1.3170-1.3150が主なサポート圏内となり、今後の下値拡大を妨げる可能性が高い。逆に、上昇した場合は、1.3500 と 1.3650付近で、レジスタンスに直面することとなりそうだ。


要約

USD/JPY

米ドル/円は、111.00から回復基調となり、当面、110.00-114.00で幅広いレンジでの取引が続く見込み。
EUR/USD

ユーロは、対米ドルで強気相場となり、1.1750をサポートとし底堅く推移。レジスタンスレベルは、1.1960 と1.2000
GBP/USD

ポンドは上昇基調が続き、この先も1.3500-1.3600あたりまで上昇する見通し。



Aayush Jindal

Aayush is a Senior Forex, Cryptocurrencies and Financial Market Strategist with a background in IT and financial markets. He specialises in market strategies and technical analysis, and has spent over a decade as a financial markets contributor and observer. He possesses strong technical analytical skills and is well known for his entertaining and informative analysis of the currency, commodities, Bitcoin and Ethereum markets.

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