Nick Goold
ボリンジャーバンドは、1980年代に金融アナリストのジョン・ボリンジャーが開発し、著書「Bollinger on Bollinger Bands」の中で発表しました。
ボリンジャーは、従来の支持線と抵抗線よりもダイナミックな方法で価格の変化を示す方法として、バンドを考案しました。さらに、ボリンジャー氏は、バンドによって特定の取引チャンスを特定することができ、リスク管理にも応用できることを提唱しました。
ボリンジャーバンドとは？
ボリンジャーバンドは、テクニカル分析ツールの一つで、アッパーバンド、ローバンド、基準線の3本で構成され、原則として基準線には単純移動平均線が使用されます。バンドの幅は、マーケットのボラティリティに応じて広がったり狭まったりします。このため、ブレイクアウトの可能性、トレンドの変化、支持線と抵抗線のレベルを見つけるのに役立ちます。
上下のバンドは、中央のバンドから指定された標準偏差の数だけ離れて計算されます。
ボリンジャーバンドの計算式は以下のとおりです：
ミドルバンド＝n期間の単純移動平均（SMA)
上限バンド＝中間バンド＋k×標準偏差
下限バンド＝中間バンド-k×標準偏差
n は移動平均の算出に使用する期間数
kは、基準線から加減する標準偏差の数です。
標準偏差は、特定の期間において価格が平均値からどれだけ変動したかを示すボラティリティの指標です。
デフォルトでは、nとkは移動平均で20期間、上下のバンドで2標準偏差に設定されています。ただし、トレーダーは自分の取引スタイルや市場の状況に応じて、これらの値を調整できます。
上下のバンドは市場のボラティリティに応じて広がったり縮まったりすることが従来の他のバンド（エンベロープ等）と大きく異なる点です。この性質を利用し、ブレイクアウトの可能性、トレンドの変化、サポートとレジスタンスのレベルをトレーダーは判別することができるのです。
マーケットのセットアップと戦略：
ボリンジャーバンドは、FX市場のようなボラティリティの高い市場で特に効果を発揮します。ボリンジャーバンドを活用して、トレンドの反転の可能性を特定し、エントリーポイントとエグジットポイントを設定できます。
一般に知られているトレード戦略としては、バンドを現在の支持と抵抗の指標として使用し、価格がボリンジャーバンドの下限バンドに近づいたら買い、上限バンドに近づいたら売るという方法です。しかし、バンドはブレイクアウトやトレンドの反転の取引にも使用され、通常は他のテクニカル指標と組み合わせて取引判断を確認します。
ボリンジャーバンド・スクイーズ・ブレイクアウト：
この戦略では、ボリンジャーバンドの上下のバンドが接近してボリンジャーバンドの幅が狭くなる「スクイーズ」を探します。このスクイーズが発生しているときはマーケットのボラティリティが低いことを示します。スクイーズは大きなブレイクアウトに先行して発生するという考え方に基づいています。ボリンジャーバンドがスクイーズしたら、トレーダーはエントリーの準備を整え、上部バンドを上回るブレイクアウト（強気ブレイクアウト）または下部バンドを下回るブレイクアウト（弱気ブレイクアウト）を待ちます。トレーダーによっては、ブレイクアウトのシグナルを確認するために、RSIなど、他の指標を使用することもあります。
ボリンジャーバンド・エクスパンション・ブレイクアウト：
この戦略では、トレーダーはボラティリティが低下した後にブレイクアウトする動きを探します。例えば、ボラティリティが低い時期が続いた後、ボリンジャーバンドが拡大していれば、市場がボラティリティが高まっていることを示します。ボリンジャーバンドが拡大したら、上側のバンドを上回るブレイクアウト（強気ブレイクアウト）または下側のバンドを下回るブレイクアウト（弱気ブレイクアウト）を待って、エントリーします。また、トレーダーは、MACDなど、他のテクニカル指標でブレイクアウトのシグナルを確認できるでしょう。
ボリンジャーバンドとRSI：
このストラテジーは、ボリンジャーバンドとRSIを使用して、銘柄の買われすぎたり売られすぎのタイミングを判断します。例えば、価格がボリンジャーバンドの上限に達し、RSIが70を超えたら、トレーダーは売りエントリーを検討します。逆に、価格がボリンジャーバンドの下限バンドに達し、RSIが30を下回った場合、トレーダーは買いシグナル検討できるでしょう。
ボリンジャーバンドとストキャスティック：
ストキャスティックは、反転の可能性のあるポイントを特定できます。例えば、価格がボリンジャーバンドの上限に達し、ストキャスティクスが80を超えた場合、トレーダーは売りエントリーを検討します。逆に、価格がボリンジャーバンドの下限バンドに達し、ストキャスティクスが20以下になったら、トレーダーは買いエントリーを検討します。
ボリンジャーバンドと移動平均線：
この戦略は、ボリンジャーバンドと長期移動平均線を組み合わせて、トレンドの方向性を見極めるものです。例えば、取引を行う前に、ボリンジャーバンドでトレンドが買われ過ぎか売られ過ぎかを調べ、その後、移動平均線でトレンドの方向を確認します。
ボリンジャーバンドとフィボナッチリトレースメント：
ボリンジャーバンドとフィボナッチリトレースメントレベルを使用して、相場で意識されやすいサポートとレジスタンスを見つけます。例えば、トレーダーはボリンジャーバンドを使用して現在のトレンドを特定し、フィボナッチリトレースメントレベルを使用して、価格が跳ね返ったり反転する可能性のあるレベルを特定できます。
多くのFXデイトレーダーは、有名なテクニカル分析ツールであるボリンジャーバンドを使用しています。ボリンジャーバンドは、ボラティリティの高い市場で有効であり、エントリーのタイミング、ストップのタイミングなどの判断をする際に活用できるでしょう。
しかし、トレーダーはボリンジャーバンドの限界も認識し、他のテクニカル指標やファンダメンタルズ分析と併用して使用する必要があります。
