Nick Goold
手堅いニック式取引戦略
月曜特別版
ニック・グールドがお届け
先週の市場は、今週予定されている米連邦準備制度理事会（FRB）会合と0.25％の利下げ予想に向けて準備を整えました。米国の生産者物価指数（PPI）は予想を下回り、消費者物価指数（CPI）は予想通りとなり、FRBが利下げを実施する可能性が極めて高まりました。月初に発表された弱い雇用統計に続き、新規失業保険申請件数も予想以上に悪化し、米国経済の減速観測を強めています。欧州中央銀行（ECB）は政策金利を2.15％に据え置き、安全資産需要と低金利期待を背景に金価格は過去最高値を更新しました。
為替市場では、米国のインフレ指標が弱かったことや日本銀行が年内に利上げするとの見方が強まったことから、ドル/円は下押し圧力を受けましたが、サポートを維持してほぼ横ばいで引けました。日本のGDPは予想を上回り、石破氏の辞任を受けた新首相の誕生への期待が日本市場のセンチメントをさらに押し上げました。
株式市場は依然として注目の中心で、米国と日本の株価指数は米国の利下げ期待を背景に過去最高値を更新し、市場は次の為替市場の大きな動きを引き起こす材料を探っています。
今週の市場
米国株式
米国株式は先週も最高値を更新しました。米インフレ指標の鈍化を受けてFRBの利下げ開始期待が高まったことが支えとなり、AI関連銘柄の強さがハイテク株のアウトパフォームを後押ししました。ただし短期上昇トレンドの勢いは限定的であり、FRB会合を控えた現状ではレンジ取引が最適と見られます。主なレジスタンスは45,750、46,000、47,000、サポートは45,700、45,000、44,000、43,000に位置します。
日本株式
日経225は先週3％上昇しました。新首相への期待や米国株の強さによるポジティブなセンチメントが背景です。さらに予想を上回る鉱工業生産が、日本経済が想定以上に堅調であることを確認させました。先週の値動きは非常に良好であり、短期的には押し目買いで上昇トレンドに追随する戦略が有効と見られます。レジスタンスは45,000円と46,000円、サポートは44,000円、43,000円、42,000円です。
ドル/円
予想を上回る日本のGDPは、日銀が年内に利上げするとの見方を強め、ドル/円は週初に146円のサポートを試しました。このサポートが維持されたことで、週末には146～149円レンジの中ほどまで反発しました。短期的にはレンジ取引が有効で、売りを優先する戦略が中期的にも適しています。主要レベルは変わらず、レジスタンスは148円、149円、150円、サポートは146円と145円です。
金
金は過熱感が指摘される中、今週予想される米国利下げを控えて先週も過去最高値を更新しました。現在の買いは主に強い上昇トレンドに沿った投機的なもので、チャート上に明確なレジスタンスは見当たりません。ただし急反落の可能性は高まっており、短期的にはモメンタムが鈍化した際の売りが有効で、中期的には押し目を待って買う姿勢が推奨されます。レジスタンスは3,600ドル、3,700ドル、3,800ドル、サポートは3,600ドル、3,500ドル、3,450ドルです。
原油
WTI原油は週初、ロシアとウクライナの戦闘激化を背景に先月の安値付近でサポートされましたが、下降する10日移動平均線で上値を抑えられ、週末はほぼ横ばいで引けました。供給過剰懸念と米国経済減速への不安から下押し圧力は続き、テクニカル指標も下向きを示しているため、戻り売りが依然として有効な戦略です。レジスタンスは65ドル、70ドル、75ドル、サポートは60ドルと55ドルです。
ビットコイン
ビットコインは先週、米FRBによる来週の利下げ期待を背景に重要水準である112,000ドルを再び上回りました。大型投資家の買い戻しやビットコインETF需要の増加、暗号資産ETFに関する規制緩和への期待が強気のモメンタムを後押ししました。現在112,000ドルを上回る中、テクニカル指標も上向きを示しており、強気相場に乗る買い戦略が有効と見られます。レジスタンスは120,000ドル、125,000ドル、150,000ドル、サポートは112,000ドル、105,000ドル、100,000ドルです。
今週の注目
月曜日：中国鉱工業生産、EU貿易収支、米NY連銀製造業景況指数
火曜日：英国失業率、EU鉱工業生産、米小売売上高・鉱工業生産
水曜日：日本貿易収支、英国CPI、EU CPI、米住宅着工件数・FRB政策金利発表
木曜日：豪州失業率、英国イングランド銀行（BoE）政策金利発表、米新規失業保険申請件数
金曜日：日本全国CPI・日銀政策金利発表、英国小売売上高
今週は米国が政策金利を引き下げ、英国と日本が据え置く見通しで、各中央銀行の決定理由に注目が集まり、市場のボラティリティが高まる可能性があります。米国の小売売上高や日本のインフレ指標が重要経済指標となり、為替の狭いレンジが突破されるか、株式や金が反転するか注目されます。全体として、多くの取引機会が期待される一週間となるでしょう。
