Nick Goold
手堅いニック式取引戦略
月曜特別版
ニック・グールドがお届け
今月の米国利下げの影響を市場は引き続き消化しており、週初に下落していた米ドルは耐久財受注とGDPが予想を上回ったことを受け、週末にかけて急反発しました。米国株式は最高値を更新した後、利益確定の売りでやや下落し、最近の上昇分を投資家が一部確定しました。
日本では、日銀のETF売却計画への懸念が投資家心理を抑え、日経平均は上値を伸ばせませんでした。日銀の議事要旨は追加引き締めに慎重な姿勢を示し、堅調な米国経済指標と合わせて円安を誘発し、段階的な政策調整への期待を強めました。
その他では、金が安全資産需要と世界的な金融緩和期待を背景に上昇基調を継続しました。一方でビットコインは利益確定の売りに押され下落し、コモディティやデジタル資産市場では選別的なリスク姿勢が際立ちました。
今週の市場動向
米国株
ダウ平均は先週初めに最高値を更新した後、自然な利益確定の売りに押されました。週後半には米国の強い経済指標が追加利下げ観測を後退させ、株式にとってややマイナス要因となりました。一時10日移動平均線を下回りましたが、テクノロジー株の堅調さに支えられ週末には再び上回りました。10日移動平均線は上昇基調を維持しており、押し目買いが引き続き有効と見られ、短期レンジ取引にも好機があります。主要なレジスタンスは46,500、47,000、48,000、サポートは45,700、45,000、44,000、43,000です。
日本株
日経平均は先週複数回最高値を試しましたが、上抜けには至りませんでした。投資家は日銀によるETF売却計画を警戒しており、売却は緩やかに進む見通しでも懸念が残っています。東京都区部の消費者物価指数は予想をやや下回る2.5%でしたが依然高水準で、日銀による利上げ観測を強めました。9月に大きく上昇した後で、10日移動平均線を下回って引けた場合は下落トレンド入りや売りシグナルとなる可能性があります。主要レジスタンスは46,000円、47,000円、サポートは45,150円、45,000円、44,000円です。
ドル円
米国の強い経済指標を受けドル円は先週レンジを上抜けし、買いが強まりました。10月4日の自民党総裁選を控えた日本の政治的不透明感も円安を後押ししています。150円でレジスタンスが確認され、日本当局が円安を懸念して発言する可能性があり、市場介入の思惑も残りますが、実際の介入は低確率と見られます。これまでの146~149円レンジを上抜けしたことで、149円近辺への押し目買いが今週の有力戦略です。主なレジスタンスは150、151、152、サポートは149、148、146、145です。
金
金は7週連続の上昇を記録し、低金利期待と中央銀行の買いが支えとなりました。市場は過熱感があるものの、10日移動平均線を上回っている限り強気姿勢が有効です。短期的には移動平均線との乖離が大きく、3,800ドル手前で何度も上値を抑えられたことから、週初に短期売りのチャンスがあるかもしれません。レジスタンスは$3,800、$3,900、サポートは$3,700、$3,600、$3,500、$3,450です。
原油
WTI原油は$60の支持線を維持し、レンジ上限を再び試しました。背景には米国の原油在庫減少やクルディスタン、ベネズエラ、ロシアでの輸出混乱があります。米国の好調な経済指標も需要期待を高めました。9月初旬の高値付近にレジスタンスがあるため短期的にはレンジ取引が有効ですが、$60の支持線が何度も守られていることから中期的には強気です。レジスタンスは$66.5、$70、$75、サポートは$60、$55です。
ビットコイン
ビットコインは先週、投機筋による利益確定売りで大きく下落しました。テクニカル指標が弱気に転じ、重要な支持線である$112,000を下抜けたことが売りを加速させました。短期的には売られ過ぎで弱気基調が続いており、10日移動平均線近辺への戻り売りが有効と見られます。今後$100,000を試す可能性もあります。レジスタンスは$112,000、$120,000、$125,000、サポートは$105,000、$100,000です。
今週の注目イベント
月曜日: 米国 中古住宅販売保留件数
火曜日: 日本 鉱工業生産、オーストラリア 建設許可件数・RBA金利発表、中国 製造業PMI、英国 GDP、欧州 ECBラガルド総裁発言、米国 シカゴPMI・コンファレンスボード消費者信頼感
水曜日: 日本 日銀短観、欧州 CPI、米国 S&Pグローバル製造業PMI・ISM製造業PMI
木曜日: 欧州 失業率、米国 新規失業保険申請件数・製造業受注
金曜日: 日本 auじぶん銀行サービス業PMI、欧州 HCOBユーロ圏総合PMI、英国 S&Pグローバル総合PMI、米国 非農業部門雇用者数、S&Pグローバルサービス業PMI、ISM非製造業PMI
今週の注目は金曜日の米国雇用統計で、米国の労働市場の弱さが続いているかを見極める鍵となります。発表前はチャートシグナルが主導し、株式やビットコインで利益確定の売りが出る可能性があります。雇用統計は、米連邦準備制度理事会(FRB)が次回利下げのタイミングを判断する重要な材料となり、為替・株式・商品市場全体の相場変動に影響を与えるでしょう。