Nick Goold
手堅いニック式取引戦略
月曜特別版
ニック・グールドがお届け
先週もリスクオンムードが続き、世界の株式市場は過去最高値を更新しました。注目されたのは、米連邦準備制度理事会（FRB）が政策金利を0.25％引き下げ、過去3年間で最も低い水準にしたことです。しかし、パウエル議長が「今後の利下げは保証されない」と発言したことで、市場は意外感を受け、ドルが上昇しました。
日本では、日経平均株価が初めて5万円を突破しました。これは、高市早苗新首相による大規模な経済刺激策への期待や、日本銀行が金利を据え置くとの見方が支えとなりました。これにより、日本経済への信頼感が高まり、アジア地域の株式市場でも買いが広がりました。
さらに、米中貿易協議では、新たな米国の関税を停止し、中国のレアアース輸出規制を緩和する暫定合意案がまとまりました。また、欧州中央銀行（ECB）も金利を据え置き、ドイツ経済の回復傾向を強調しました。
今週のマーケット動向
米国株
米企業の好決算と利下げを受け、ダウ平均株価は過去最高値を更新しました。一方で、米株式市場のバブル懸念も高まっています。指数は依然として10日移動平均線の上にあり上昇トレンドを維持していますが、直近の上昇を維持できなかったことから、短期的な調整の可能性があります。10日移動平均線を下回る場合の売り戦略が短期トレーダーにとって有効ですが、中期的にはトレンドは依然として強いです。主なレジスタンスは48,000、49,000、50,000、サポートは47,000、46,000、45,500、45,000です。
日本株
日経平均株価は先週も力強い上昇を見せ、毎日上昇しました。背景には、日本銀行の低金利政策、円安、そして新政権による景気刺激策への期待があります。短期的には買われ過ぎの状況ですが、最高値圏での売りはリスクが高いため、10日移動平均線までの押し目を待って買いを検討するのが賢明です。レジスタンスは53,000円、54,000円、55,000円、サポートは50,000円、48,500円、47,000円です。
ドル円（USD/JPY）
日本銀行が金利を据え置いたことを受け、ドル円は2月以来の高値をつけました。急速な円安に対する懸念もありますが、日銀は利上げが経済に悪影響を与える可能性を警戒しており、為替介入の兆しは見られません。上昇トレンドは依然として強く、153円を上回る現在の水準では上値の抵抗が少ないため、短期的には押し目買いが有効です。レジスタンスは154.5、155、156、サポートは153、151.5、151、150です。
金（ゴールド）
ゴールドはここ数か月の急上昇後、利益確定の売りが続き、価格は4,000ドルを下回りました。米国株の過去最高値更新や、短期的なテクニカル指標の低下もトレーダーのポジション解消を促しました。短期的には4,000ドル付近で下支えが見込まれ、レンジ取引の機会があるものの、経済悪化などのリスク要因が出ない限り、さらに下落する可能性もあります。レジスタンスは4,200ドル、4,300ドル、4,400ドル、サポートは4,000ドル、3,950ドル、3,900ドルです。
原油（WTI）
WTI原油は先週の強さを維持できず、供給過剰と米国経済減速による需要低下懸念が重しとなりました。60ドル付近のサポートは維持されていますが、上昇の勢いは弱く、短期的には押し目買いと戻り売りの戦略が有効と見られます。レジスタンスは65、66.50、70、75ドル、サポートは60、55ドルです。
ビットコイン
ビットコインは先週、パウエル議長が12月の追加利下げの可能性を否定した発言を受けて再び売り圧力を受けました。106,000ドルの重要なサポートは維持されており、これはポジティブなサインですが、全体としては依然として弱含みです。短期的には106,000〜116,000ドルのレンジ取引が最適な戦略と見られます。レジスタンスは116,000、120,000、125,000ドル、サポートは106,000、100,000、95,000ドルです。
今週の注目ポイント
月曜日： EU HCOBユーロ圏製造業PMI、英国S&Pグローバル製造業PMI、米国S&Pグローバル製造業PMI、ISM製造業PMI
火曜日： オーストラリアRBA政策金利発表、EUラガルドECB総裁発言、米国貿易収支
水曜日： 日本金融政策決定会合議事要旨、EU HCOBユーロ圏総合PMI、英国S&Pグローバル総合PMI、米国ADP雇用統計およびISM非製造業PMI
木曜日： オーストラリア貿易収支、日本auじぶん銀行サービス業PMI、英国イングランド銀行（BoE）政策金利発表
金曜日： 米国ミシガン大学消費者信頼感指数
今週は経済指標の発表が比較的少なく、株式市場とドル円の上昇が続くか、あるいは利益確定の動きで一服するかに注目が集まっています。日本銀行の金融政策決定会合議事要旨が最大の注目イベントで、今後の利上げ時期に関するヒントが得られる可能性があります。イングランド銀行は高いインフレを理由に金利を据え置く見通しですが、利下げの可能性は小さいと見られています。一方、金価格は4,000ドルを上回る回復が見られなければ、さらなる売り圧力が懸念されます。
