Nick Goold
手堅いニック式取引戦略
月曜特別版
ニック・グールドがお届け
今週の焦点はFOMC（米連邦公開市場委員会）でした。米連邦準備制度理事会（FRB）は3会合連続で利下げを実施し、政策金利を3.50％～3.75％に引き下げました。決定後のパウエルFRB議長の発言は、市場予想以上に今後の追加利下げに前向きな内容となり、米国株式と金を押し上げる一方、米ドルの売りを促しました。
日本では、GDPが予想を下回り、景気減速が改めて意識されました。一方で、日銀の植田総裁の発言が市場心理を変化させました。総裁はインフレ率が日銀の目標に近づいていると述べ、今週の金融政策決定会合での利上げ期待が高まりました。同時に、日本の10年国債利回りは約1.95％まで上昇し、市場が注目する重要な水準となっています。
週後半にかけては、AI関連銘柄の高いバリュエーションへの懸念が再燃し、テクノロジー株が軟調となりました。全体的な市場センチメントは依然として良好ですが、こうした懸念は引き続きテックセクターのボラティリティ要因となりそうです。
今週のマーケット
米国株式
ダウ平均は週初に下落したものの、FOMC声明が2026年に向けた追加利下げにより緩和的な姿勢を示したことで急反発し、史上最高値を更新しました。テクノロジー株は引き続き不安定な動きとなっていますが、ダウは10日移動平均線が上向きで推移し、下値支持として機能しています。この上昇トレンドが維持される限り、押し目買いが基本戦略となります。レジスタンスは48,500および49,000、サポートは48,000、47,500、47,000、46,500、46,000です。
日本株
日経225は、弱い国内経済指標と利上げ期待の高まりが米国株高の影響を相殺し、先週は横ばいで推移しました。今回の利上げは概ね織り込まれており、過去のような急落を引き起こす可能性は低いとみられます。ただし、国内景気への圧力が続き、長期金利も上昇基調にあることから、短期的には下方向へのリスクがやや高まっています。レジスタンスは51,000円、51,500円、52,000円、サポートは49,000円、48,000円、47,000円です。
ドル円（USD/JPY）
ドル円は、FOMCを前に弱い日本の経済指標を受けて一時上昇しましたが、週末にはほぼ横ばいで引けました。パウエル議長の発言により追加利下げ期待が高まり、米ドルは上値を抑えられています。今週の最大の注目材料である日銀会合を前に、レンジ相場が続く可能性が高く、短期的な取引機会が見込まれます。レジスタンスは156、157、158、サポートは154、153、152です。
金（ゴールド）
金は、パウエル議長の発言を受けた米ドル安と、追加利下げ期待の高まりに支えられ、堅調に推移しました。短期的にはやや買われ過ぎとなり、10月の史上最高値付近で一服していますが、中長期的な上昇トレンドは依然として強く、10日移動平均線付近での押し目買いが有効とみられます。レジスタンスは4,300ドル、4,350ドル、4,380ドル、4,400ドル、サポートは4,200ドル、4,150ドル、4,100ドルです。
原油
WTI原油は、米国の需要減速懸念や在庫増加を背景に、FRBの利下げにもかかわらず60ドルを上回る水準を維持できませんでした。需給面の圧力が続く中、2025年にかけても軟調な展開が予想され、年初来安値の再試しが現実味を帯びています。レジスタンスは60ドル、65ドル、66.50ドル、70ドル、75ドル、サポートは55ドルと50ドルです。
ビットコイン
ビットコインは、米利下げ期待を背景に95,000ドル付近のレジスタンスを試しましたが、週後半のテクノロジー株の売りに押され、直近レンジの中央付近で引けました。買い手は慎重姿勢を維持しており、短期的には85,000～95,000ドルのレンジ取引が有効と考えられます。レジスタンスは95,000ドルと100,000ドル、サポートは85,000ドル、80,000ドル、75,000ドルです。
今週の注目ポイント
月曜日：日本 田中指数、中国 鉱工業生産、EU 鉱工業生産、NY連銀製造業景気指数
火曜日：日本 auじぶん銀行サービス業PMI、英国 失業率、EU HCOBユーロ圏製造業PMI、英国 S&Pグローバル製造業PMI、米国 非農業部門雇用者数、米国 小売売上高、S&Pグローバル製造業PMI
水曜日：日本 貿易収支、英国 CPI、EU CPI
木曜日：英国 BOE政策金利、EU ECB政策金利、米国 CPI、フィラデルフィア連銀製造業景気指数
金曜日：日本 全国CPI・日銀政策金利、英国 小売売上高、米国 既存住宅販売件数、ミシガン大学消費者信頼感指数
祝日シーズン前の最後の本格的な取引週となり、主要中央銀行の会合が相次ぐため、市場は非常に忙しい週となります。ECBは金利据え置き、BOEは利下げ、日銀は利上げが予想されています。米国では、遅れていた雇用統計に加え、小売売上高やインフレ指標が週半ばに発表され、短期的な市場心理に影響を与える可能性があります。欧州および英国のインフレ指標も、2026年に向けた金利見通しを探る上で重要な材料となるでしょう。
