Nick Goold
一連の選挙敗北と支持率の低迷を受けて、石破茂首相が辞任しました。自民党は2025年10月4日（土）に新総裁を選出し、その人物が次期首相となる可能性が極めて高いです。これは、日銀が金利を据え置きつつETFやJ-REITの保有資産の縮小計画を開始した直後であり、さらに米日新貿易協定の合意からわずか数週間後の出来事です。新たな指導者選出、日銀の政策時期、そして貿易摩擦が重なり、来週はドル円と日経225にボラティリティが生じる可能性があります。
石破氏が辞任した理由
石破氏は9月7日に辞任を表明しました。自民党の選挙敗北により与党陣営が衆参両院で過半数を失ったためです。また、米国との関税協議を終えてからバトンを渡したい意向もありました。
10月4日の投票と候補者
10月4日（土）、自民党は国会議員と党員の双方が投票する正式な総裁選挙を実施します。過半数を得る候補がいなければ、上位2名による決選投票が同日に行われます。勝者はその後、速やかに国会で首相に指名される見通しです。
立候補者は以下の通りです：
- 小泉進次郎（農林水産大臣） 現実的。政府と日銀が「車の両輪」として連携することを重視。超緩和から段階的に移行することに前向き。
- 高市早苗（元経済安全保障・総務担当） よりリフレ的。政府支出拡大と金融緩和を支持。米国との新協定が日本に不利なら見直す可能性を示唆。
- 林芳正（官房長官） 安定を重視。日銀政策については緩やかで着実な道筋を支持。
- 茂木敏充（元外相・経産相） ベテラン交渉役。投資重視で、慎重な緩和縮小に前向き。
- 小林鷹之（元経済安全保障担当） 一時的な減税と外国投資の厳格な審査を提案。
最新世論調査
最新の世論調査とメディア分析では、小泉進次郎氏か高市早苗氏がリードしており、調査によって優勢が分かれています。小泉氏がわずかに優位との結果もあれば、高市氏が先行する調査もあり、接戦の様相です。両者の政策シグナルは市場に大きく異なる影響を与えると見られます。
勝者が重要な理由
次の自民党総裁は日本の進路を左右する存在です。政府の政策（支出・税制）、日銀との利上げ時期の協調度合い、そして特に米国との貿易関係が、前政権から方向転換する可能性があります。
小泉氏（現実的・協調重視）
- 日銀：日銀と歩調を合わせ、データ次第で早期の利上げを含む正常化へ段階的に移行。
- 貿易協定：公然たる対立より静かな修正を好む。
- 財政・税制：大規模な新支出よりも規律と改革を優先。
高市氏（リフレ志向・大きな政府）
- 日銀：より緩和的。利上げには慎重。
- 貿易協定：見直し・再交渉に前向き → 関税リスクの見出し要因。
- 財政・税制：支出拡大や一時的な減税に前向き。
その他3候補
- 林氏：「安定維持」。日銀は緩やかで予測可能な路線。貿易摩擦を回避。
- 茂木氏：ディールメーカー、投資重視。慎重な正常化に前向きで対米関係は現実的。
- 小林氏：一時的な減税と外国投資の厳格な審査。日銀政策の短期的変化は限定的。
ドル円・日経225への潜在的影響
ドル円と日経 — 上昇か下落か、その難しさ
- 事前ポジション：多くの投資家が既にポジションを持っており、結果が予想通りなら初動は小幅か逆方向になる可能性（「噂で買い、事実で売る」）。
- 現在の状況：ドル円と日経は今週すでに下落しており、米国政府閉鎖リスクやリスク回避姿勢、小泉氏の支持上昇を反映しているとみられる。そのため小泉勝利による新たな下落余地は限定的で、日銀がよりタカ派化しない限り大きな下押しはない可能性。
シナリオ別ガイド
小泉氏勝利（協調・漸進）
- ドル円：市場が日銀の利上げ時期を前倒しすると見れば下落の可能性。ただし一部はすでに織り込み済み。
- 日経：利上げ期待が株式に逆風となり下落する可能性。ただし政策基調は安定的。
高市氏勝利（リフレ＋見直し発言）
- ドル円：リフレ発言で上昇の可能性。ただし再交渉リスクが高まれば下落することも。関税ヘッドラインで乱高下のリスク。
- 日経：再交渉が激化すればリスクオフに転じ、自動車や製造業を中心に下落の可能性。
トレードメモ
- ポジション管理：明確な見通しがない限り、週末前に短期ポジションを手仕舞うことを検討。
- シンプルなデイトレ手法：5分足チャートに10期間単純移動平均線（SMA）を表示し方向感を確認。直近の高値・安値から第1・第2サポート・レジスタンスを設定。
- 忍耐と利益確保：水準到達を待ち、エントリー後は利益を通常より少し伸ばす工夫（例：最初の反発で利確せずトレイルで追随）。
- リスク管理：イベントによるノイズを想定し、OCO注文や時間ベースの手仕舞いを検討。
- 過剰反応のチャンス：大きな値動き後に一旦止まれば逆張り機会。ただし継続トレンドなら逆行が急伸するため小ロット・タイトストップ必須。
- ノイズ対策：小泉/高市の「if/then」シナリオを事前に設定。SNSではなく計画と水準に基づいて取引。
勝者は小泉氏か高市氏か、どちらもあり得ます。小泉勝利 → ドル円軟化、早期利上げ観測で日経は重し。高市勝利 → ドル円上昇も、再交渉リスクでリスクオフに転じればドル円下落・日経下落へ。市場は予測不能です。強い思い込みは避け、センチメントに応じて柔軟に対応し、月曜に高いリスク・リワードのエントリーポイントを狙うことに集中してください。
