Nick Goold
最近のドル円(USD/JPY)の動き
ここ数週間、ドル円相場は日本の財政・金融政策の変化を受けて活発な値動きを見せています。高市早苗首相が就任して以来、円は弱含みで推移しています。彼女の政権は「アベノミクス」に似た拡張的な政策を支持しており、市場では新たな景気刺激策への期待が高まっています。一方で、日本銀行(日銀)は景気を支えつつ、インフレを抑制するという難しい課題に直面しています。直近の金融政策決定会合では、日銀は金利を据え置き、利上げを先送りしたことで、当面は緩和的な政策を維持する姿勢を示しました。
先週、政府関係者が急激で一方的な円安について懸念を表明したことを受け、一時的に円が反発しました。片山さつき財務相は「無秩序な動き」に警戒を示し、ボラティリティが過度に高まった場合には政府が行動する可能性を示唆しました。これらの発言は、輸入コスト上昇や円安による家計支出への悪影響への懸念が高まっていることを反映しています。
なぜ円安が日本にとって問題なのか
円安は輸出企業の利益を押し上げる一方で、エネルギーや食料品など輸入品のコストを上昇させます。これらは資源依存度の高い日本経済にとって極めて重要な品目です。その結果、インフレ率が上昇し、家計の購買力が低下します。実質賃金が停滞している中で、政府には過度な円安を抑制し、国内需要や消費者信頼感を守るよう求める声が強まっています。
為替介入とは何か
為替介入とは、中央銀行が自国通貨を市場で売買し、為替レートに影響を与える行為のことです。日本の場合、日銀は円安を抑えるために米ドルを売り、円を買うことがあります。
このような介入は、短期的に急激な相場変動を引き起こすことが多いです。最初のドル円下落は突然かつ大きく、投機的な買いを止めるための「サプライズ効果」を狙っています。その後、市場は徐々に戻すこともありますが、再び介入が行われれば、再度急落することもあります。
介入が行われた水準は、当局が防衛する「抵抗ゾーン」として意識されます。ただし、介入だけで長期トレンドが変わることは稀です。米国の金利は依然として日本より高いため、円には下押し圧力がかかり続けています。日銀によるサプライズ利上げの方が、単独介入よりも強力かつ持続的な影響を持ちますが、現時点で米連邦準備制度(FRB)との協調介入は見込まれていません。
日銀が最後に介入したのはいつか
日本は2024年に少なくとも2回、大規模なドル売り・円買い介入を実施しました。最初は4月末から5月初めにかけてで、円が1ドル=160円を超えて急落した際に行われたとみられます。具体的には、4月29日と5月1日に当局が介入したと広く信じられています。
2回目の介入は7月中旬に行われ、後に公表された公式データで7月11日と12日に実施されたことが確認されました。このときも円は再び160円付近を試しており、160円水準と急速な下落ペースの両方が、政府の直接介入の主要なトリガーであることが示されました。
介入のタイミングを予測するには
為替介入のタイミングを正確に予測することは非常に困難です。なぜなら、介入は市場を驚かせることで最も効果を発揮するからです。それでも、トレーダーが注目すべきサインはいくつかあります。
1. 政府関係者の発言に注目する
最初の兆候は、政府のコメントに現れることが多いです。「注視している」という表現から「急速」「一方的」といった強い表現に変わると、介入の可能性が高まります。財務大臣や為替担当官が強い言葉を使い始めたときは、当局が行動の準備をしているサインであることが多いですが、常に「不確実性」を残してサプライズ効果を維持します。
2. 重要なテクニカル水準に注目する
現在、多くのトレーダーがドル円の155円超えを介入の可能性が高い水準として注目しています。特に米国の経済指標が強い結果を示した直後に、急速に155円を上抜けするような展開では、政府の介入リスクが高まります。重要なのは価格水準そのものだけでなく、動きのスピードと性質です。緩やかな上昇よりも、一方向に急上昇する動きの方が、迅速な対応を引き出します。
3. 市場のタイミングと不確実性
当局は、世界市場が閉まっている時間帯や閑散時など、最も予想外のタイミングで介入することが多いです。介入は「予測できないこと」が本質です。予想できてしまえば効果が薄れるためです。このサプライズ性が市場の緊張を維持し、ドル円取引をリスクとチャンスの両方に満ちたものにします。
介入時の取引戦略
1. 介入前に売る戦略
これは、ドル円が急騰している段階で売りポジションを取る戦略です。日銀が円安を止めるために介入すると予想して、下落を先取りする形になります。
メリット:
- ボラティリティ上昇前に有利な価格で参入できる。
- 実際に介入があれば、短時間で大きな利益が得られる。
デメリット:
- どの水準で介入が起きるか保証はない。
- ドル円がさらに上昇し、損失が拡大する可能性がある。
- 厳格なリスク管理が必要で、損失ポジションを増やしてはいけない。
2. 介入中に売る戦略
実際に介入が起きた瞬間にドル円を売る戦略です。急落の勢いに乗る方法ですが、その動きは数分で終わることが多く、実行は非常に難しいです。
メリット:
- 急激で強力な下落の一部を捉えられる。
- リアルタイムで市場を監視しているトレーダーに有効。
デメリット:
- 反応速度が求められ、数分で200pips動くこともある。
- スリッページや価格ギャップが発生しやすい。
- 事前に注文を設定していないと、最良のタイミングを逃す可能性が高い。
3. 介入後に買う戦略
介入後は市場が過剰反応し、ドル円が短時間で行き過ぎることがあります。相場が安定し始めると、反発が起きやすくなります。
メリット:
- 短期的な安値付近で買える可能性。
- 損失を小さく抑えつつ大きな利益を狙える高リスクリワードの取引。
- 市場のパニックが収まり始めた時に有効。
デメリット:
- 介入が完全に終了したか判断が難しい。
- ボラティリティが高く、再度下落するリスクがある。
- 弱気ムードの中で買う心理的難しさがある。
4. 再テストでの取引
介入後、ドル円はしばしば再び同じ水準(例:155円や160円)を試します。当局が再度防衛するかを試す動きです。そのゾーン付近で売ることは、再介入が起きた場合に有効です。
メリット:
- 初動後に2回目のチャンスを得られる。
- 過去の介入実績に基づく信頼性の高い水準で取引できる。
デメリット:
- 当局が沈黙を保つ場合、ドル円が再上昇するリスク。
- 公式発言に依存するため、判断が難しい。
- 市場が「介入終了」と見なすと再び勢いづく可能性。

取引戦略のアドバイス
ボラティリティが高い時期は、1分足や5分足などの短期チャートが有効です。
- 10期間移動平均線を使って短期トレンドを把握する。
- 下向きの移動平均線を上抜けた急騰は反転サインとなる可能性がある(逆も同様)。
- ボラティリティが高いときは、ローソク足の方向に沿って順張りエントリーすることで、勢いに乗りやすくなる。
介入時のリスク管理
為替介入の局面は大きなチャンスである一方で、非常に危険でもあります。ボラティリティが急上昇し、数分で数百pips動くこともあります。安全かつ利益を守るためには、以下のポイントが重要です。
- ナンピン禁止。 損失ポジションを増やすのは厳禁です。多くのトレーダーがこれで大損します。計画を守り、損切りを早めに行いましょう。
- 明確なリスクリワード設定。 利益目標は損切り幅の少なくとも3倍を狙いましょう(例:20pips損切りなら60pips利確)。勝率が低くても、1回の大きな利益で複数の損失を補えます。
- 取引頻度より規律を重視。 すべての動きを追う必要はありません。介入時は「回数」よりも「タイミング」が重要です。
リスクを適切に管理すれば、急変動に巻き込まれることなく、ボラティリティを味方にすることができます。
介入に備える
日銀が介入に踏み切る可能性がある局面では、大きなリスクとチャンスが共存します。過去に介入があった水準に近づく中、トレーダーは政策発言や重要価格帯を注意深く見守る必要があります。突然の介入は急激な反転を引き起こすことがありますが、長期的なトレンドは依然として金利差と経済の強さによって左右されます。
介入は市場を一気に動かす可能性があります。常に警戒を怠らず、リスクを適切に管理し、迅速に対応することで、この不安定でダイナミックな局面を有利に活かすことができます。
