Nick Goold
手堅いニック式取引戦略
月曜特別版
ニック・グールドがお届け
トランプ大統領は関税の期限を8月まで延長し、主要な貿易相手国への圧力を強めました。EU製品には30%、カナダ製品には35%の関税が8月1日から課されます。日本製品への関税も、これまでの24%から25%へ引き上げられます。これによりインフレ懸念が高まり、米連邦準備制度が利下げを行うのが難しくなるとの見方から、米ドルは上昇しました。
米国と日本の株式市場は、最近の上昇を受けた利益確定売りでやや下落しました。一方、ビットコインは機関投資家の買いとビットコインETFへの関心再燃により過去最高値を更新しました。週末にかけては、関税の影響への懸念が高まる中、金価格も上昇しました。
米連邦準備制度の6月の会合議事録では、今後の利下げに対する慎重で意見が分かれた姿勢が示されました。一部のメンバーは7月にも利下げを支持しましたが、大半はインフレが2%の目標に向けて安定的に進んでいるというより明確な証拠を待つ姿勢でした。また、発表されたばかりの関税の経済的影響を見極める必要性も強調されました。
今週のマーケット
米国株
米国株は、トランプ大統領による複数の貿易相手国への新たな関税発表を受け、利益確定売りと貿易政策への懸念の高まりにより、週末にかけて下落しました。ダウ平均は10日移動平均線を下回って引け、過去3週間の上昇トレンドが終了する可能性を示しています。貿易交渉に対する不透明感から、短期的には横ばいか下落傾向が予想されます。サポート水準は44,000、43,000、42,000、レジスタンスは45,000、45,100、45,500にあります。
日本株
日経平均は引き続き40,000円の重要なレジスタンスを上抜けできず、米国と日本の貿易交渉に進展が見られないことで市場心理が慎重なままです。円安にもかかわらず指数は上昇できず、全体的なモメンタムは弱い状況です。短期的には引き続き下値圧力が強く、売りのチャンスに注目する展開が見込まれます。レジスタンスは40,000円、41,000円、42,000円、サポートは39,000円と38,000円です。
ドル円（USD/JPY）
ドル円は堅調な週となり、米日間の貿易交渉が進まない中、米国の利下げが遅れ、日本銀行も利上げできないとの見方から、円売り・ドル買いのキャリートレードが活発化しました。中期的には強気の見通しが続きますが、短期的にはやや買われすぎの状態にあります。週後半の押し目を待って買う戦略が有効です。サポート水準は146と145、レジスタンスは148と149です。
金（ゴールド）
週初は株式市場の強さにより、安全資産としての需要が減少し金価格は下押しされましたが、貿易摩擦が再燃したことで買いが戻り、週末にかけて高値圏で引けました。米ドルが強い中でも持ち直しているのは、金にとってポジティブなサインです。現在は$3,250〜$3,400のレンジ内での取引が予想され、週初に売り、もしくは押し目を待っての買いが有効です。レジスタンスは$3,400、サポートは$3,250と$3,200です。
原油
原油は中東情勢の緊張が緩和される中でも、$65の重要なサポート近辺で買いが入り、堅調に推移しました。最近の値動きはポジティブで、10日移動平均線が上向きに転じており、中期的な見通しにとって良好なシグナルです。短期的には$65〜$70のレンジが継続する見込みです。レジスタンスは$70、$75、$80、サポートは$65と$60です。
ビットコイン
ビットコインはついに過去最高値を更新しました。これは機関投資家の買いやETF関連の需要、そして米国政府の支援的な政策に後押しされた結果です。明確なレジスタンスがない現状では、さらに上昇する可能性がありますが、心理的な節目での利益確定には注意が必要です。短期的にはやや買われすぎのため、10日移動平均線への調整を待ってエントリーするのが良いでしょう。短期トレーダーは短時間足のモメンタムに注目すべきです。レジスタンスは$125,000と$150,000、サポートは$115,000、$110,000、$105,000です。
今週の注目ポイント
月曜日：イングランド銀行 ベイリー総裁の発言（英国）
火曜日：中国GDP、英国小売売上高、EU鉱工業生産、米国CPI
水曜日：英国CPI、米国PPI、米国鉱工業生産
木曜日：オーストラリア失業率、EU CPI、米国小売売上高
金曜日：米国住宅着工件数、ミシガン大学消費者信頼感指数
今週は、比較的静かな期間の後で、市場のボラティリティが高まる可能性があります。カナダ、EU、日本との貿易交渉を進めるトランプ大統領の動きが注目され、特に関税の期限が近づく中で大きな報道が予想されます。加えて、米国のインフレ率や小売売上高など、重要な経済指標も市場の方向性に大きな影響を与える可能性があります。
市場がここ最近のように貿易摩擦を無視し続けるのか、それとも数カ月前のように恐怖感が戻ってくるのかが重要なポイントです。不透明感が強まる中、投資家のセンチメントは急速に変化する可能性があり、従来型市場と暗号資産市場の両方でボラティリティが高まる可能性があります。
