Nick Goold
トレードの経験が少ない人の中には、「誰でも簡単に利益が出る手法＝聖杯」があると信じている人がいます。勝っているトレーダーを見つけて、トレード手法の真似をして利益を得ようとします。また、書籍やウェブサイトを徹底的に調べ、たくさんの手法を学ぼうとしています。
しかし、大抵の場合、他のトレーダーの手法を真似しても、想定していたように利益が出ません。トレードは簡単そうに見えて、非常に複雑です。シンプルな手法であっても、他のトレーダーとは、性格・経験・ライフスタイルが異なるため、全く同じ取引というのは不可能なのです。
また、裁量トレードの場合、「直感」が収支に影響する重要な要素になる場合があります。利益が出ている本人でさえ無意識の内に「直感」が働いているのです。この感性の部分は、他の人には理解できません。また、正確な情報を得ることが難しいため、本当にそのトレーダーがその手法でどれだけ利益を上げ続けているのかを判断することも、難しいでしょう。
自分のトレードの強みと弱みを理解する
継続的に利益を出し続けることがトレーダーにとっては必要不可欠です。他のトレーダーの真似をしても、完全に理解することはできないため、いずれ限界が訪れるでしょう。参考にはできますが、真似だけではなく、アレンジする必要があります。
プロトレーダーになるためには、繰り返し経験を積み、自分のトレードの長所や短所を把握して自分にあったトレード手法を築く必要があります。
- 長所（例）
- 短所（例）
- 判断力がある
- 買いポジションだと勝率が上がる
- 売りポジションだと勝率が上がる
- ストップロスに抵抗を感じる
- 利益確定をしたい衝動に駆られる
- 素早い判断が苦手
トレードには様々な手法があり、トレードスタイルも様々です。このように、最初に自分のトレードの強みと弱みを理解する必要があります。その後、自分にあったトレードルールを作成していきます。時間はかかりますが、自分の長所と短所を知ることはトレードを負けにくくさせ、後に勝てるトレーダーへと成長させるでしょう。
トレードルールを構築する
例えば、トレーダーの中には、買いポジションだと勝率がいいけれど売りポジションは勝率が良くないという人もいます。この場合であれば、トレードルールとして、買いポジションを持つ方向に限定すると、失敗するトレードを減らせるでしょう。
ポジションを保有していると、何となく不安を感じるトレーダーもいます。その場合、数分単位でポジションを保有するスキャルピングに限定して、トレード手法を作成すると、利益になるトレードが多くなることが期待できます。
トレーダーにもタイプがあり、短期トレードに向い ている人、長期トレードに向いている人がいます。 また、各トレーダーによって得意とする銘柄も異なります。一部のトレーダーは FX、一部のトレーダーは CFD や先物取引、一 部のトレーダーは株式に特化しています。プロトレーダーであっても、全部の銘柄を取引するわけではありません。自分に合ったトレードルール・銘柄を見つけ特化しています。多くの戦略パターンで経験を積み、自分 に適したマーケットやトレード時間を見つけ出した結果、継続して利益を出せるようになったのです。
トレードルールを検証する
トレードルールに沿って取引をしたのであれば、今度は、トレード結果を集めて検証しましょう。そして、自分のトレードの特性を見極め、自分の強みにあった戦略にトレードルールをアップデートしていくことが、成功へのステップとなります。
勝てているトレーダーほどトレード回数は少ないものです。トレードの優位性を感じない相場ではトレードをしないため、負ける回数も少なくなります。自分にとってトレードの優位性を感じ取り、勝率の高いエントリーポイントに絞っています。トレード回数に比例して稼げる訳ではないのです。
プロトレーダーは全てのマーケット、全ての戦略に精通しているのではなく、いくつかのマーケットや特定の戦略の専門家です。あるトレーダーは、ボラティリ ティの高いマーケットで成功しており、また、あるト レーダーは値動きの静かなマーケットで成功しています。一部のトレーダーは短期トレードを好み、一部の トレーダーは長期間ポジションを保有します。
これらの答えを分析することで、自分が目指すトレーダータイプが明確になるでしょう。また、 他のトレーダーと話をしたり、そのトレーダーがどの戦略をどうやって使用している かを学ぶことは、自分のトレード適正の理解に役立ちます。
最も良い学習方法は、トレード結果を記録し、振り返ることです。トレードの度に、 使用した戦略や手法をチャートに書き留めて結果を比較します。その他に、ポジションを保有している間に感じたこと、トレードに集中できたか、ストレスを感じたかも記録に残します。これを様々な戦略やマーケットで試します。
この時に注意すべきなのはトレードの勝ち負けの結果ではありません。数週間など一 定期間トレードした後、そこから見えてくるトレードの長所と短所を把握するのに十 分なデータを収集するのが目的です。
自分のトレードの特性つまり長所と短所を知ることは、長期的に結果を出せるトレーダーになるために役立ちます。強みを活かし、弱点を最小限に抑え、トレードをもっと楽しむことに集中 しましょう。
