Nick Goold
手堅いニック式取引戦略
月曜特別版
ニック・グールドがお届け
先週は米国株式市場が最も活発で、ハイテク株がS&P500を過去最高値に押し上げ、ダウ平均も史上最高値に近づきました。6月に米国で14万7,000人の雇用が増加し、失業率が4.1%に低下したことで市場の信頼感が高まり、米経済の堅調さが示されました。週の始めには米ドルが下落しましたが、良好な雇用統計を受けて長期金利が上昇し、ドルは持ち直しました。
市場では、7月9日に終了する米国の関税凍結期限に向けて米日間の通商交渉にも注目が集まりました。多くの協議が行われたものの、合意には至らず、新たな関税が課される可能性やその影響について不透明感が広がっています。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、金利変更について「様子を見て学ぶ」と述べ、慎重な姿勢を強調しました。トランプ大統領からの大幅な利下げ要請に対しては、FRBはインフレなどの経済データに基づいて独立して判断すると強調しました。
今週の市場動向
米国株
テクノロジー株の堅調な買いと悪材料の少なさから、米国株は上昇し、ダウは先週も好調な動きを見せました。予想を上回る米雇用統計により、関税が消費者に与える影響への懸念が和らぎました。市場は次の利下げを引き続き注視しています。2週間にわたる強い上昇の後、今週は一服して横ばいからやや下落する動きが予想されます。上昇トレンドは継続しており、押し目買いが有効と見られます。サポートは44,000、43,000、42,000に位置し、レジスタンスは45,000、45,100、45,500にあります。
日本株
日経225は、米国株が堅調だったにもかかわらず、先週は直近の上昇を反転させました。40,000円を超える水準で売りが出たことと、7月8日の期限を前にした米日間の関税交渉への懸念が、投資家心理を重くしました。指数は10日移動平均線を下回り、さらなる下落の可能性を示す弱気のテクニカルサインとなっています。レジスタンスは40,000円、41,000円、42,000円、サポートは39,000円と38,000円にあります。
米ドル/円
米ドル/円は先週143で強いサポートを見つけ、その後、予想を上回る米雇用統計を受けて急上昇しました。日本銀行は、今年後半の利上げを判断するためにも、米日間の関税交渉の行方を注視しています。反発は見られたものの、10日移動平均線が下向きであることから、全体としては弱含みのままです。今週は143〜145のレンジ相場が想定され、レンジ内での取引が中心となるでしょう。サポートは143と142、レジスタンスは145と146です。
金
金は先週、最近の下落を受けた後にサポートされ、堅調な需要と米ドル安が価格を下支えしました。米雇用統計の強さが週後半に多少の売り圧力をかけましたが、小幅な上昇で週を終えました。株式市場が上昇する中でも金がしっかりと推移している点は、強気派にとって前向きな兆候です。中東情勢の再緊張や米日間の関税交渉が悪化した場合、金は急騰する可能性があります。現時点では、$3,250〜$3,350のレンジ取引が最適と見られます。レジスタンスは$3,350と$3,400、サポートは$3,250と$3,200です。
原油
原油は先週$65でサポートされ、中東情勢の緊張緩和が継続する中でも下げ止まりました。予想を上回る米雇用統計は、米国の需要減少への懸念を和らげ、価格には一時的にプラス材料となりました。しかし、その反発は短命に終わり、価格はすぐに下落へと転じました。今週は$65の重要なサポートを割り込む可能性があり、売り場を探す戦略が有効と見られます。レジスタンスは$70、$75、$80、サポートは$65と$60です。
ビットコイン
ビットコインは、リスク選好が高まる中、投資家と投機筋の強い買いによって史上最高値への挑戦を続けています。現在の市場環境ではさらに上昇する可能性があり、押し目買いが今週の最善の戦略と考えられます。レジスタンスは$110,000、$112,500、$115,000、サポートは$105,000、$100,000、$95,000です。
今週の注目イベント
月曜日:EU 小売売上高
火曜日:オーストラリア RBA 政策金利決定
水曜日:日本 PPI、中国 CPI・PPI、ニュージーランド 政策金利決定
木曜日:米国 新規失業保険申請件数、FOMC 議事要旨、非製造業 PMI
金曜日:英国 GDP
今週は大きな経済イベントが少なく、比較的静かな展開が予想されます。市場の注目は、米日間の関税交渉と、現在の関税凍結が8月1日まで延長されるかどうかに集まっています。米連邦準備制度(FRB)の最新の議事要旨も重要で、次の利下げ時期を探るヒントになる可能性があります。ニュースが少ないため、夏の閑散期にはテクニカル分析の重要性が増すでしょう。
投資家の信頼感が引き続き高いため、株式市場は最近の上昇を継続しようとするでしょう。ビットコインにも注目が集まっており、リスク選好の高まりを背景に、過去最高値の更新が期待されています。