Nick Goold
手堅いニック式取引戦略
月曜特別版
ニック・グールドがお届け
先週は金融市場にとって非常に不安定な1週間となりました。週の初めは米欧間の貿易合意で力強くスタートしましたが、8月1日にトランプ大統領が新たな世界的関税を発表したことで投資家の信頼感は急速に低下しました。カナダに対しては関税が25%から35%に引き上げられ、他の国々も8月7日以降に最大41%の関税が適用される可能性があります。これによりアジアやヨーロッパの株式市場が下落しました。
米連邦準備制度(FRB)は政策金利を据え置く決定を下しました。パウエル議長は、さらなる行動の前により多くのデータが必要だと発言。米ドルは堅調なGDPデータを受けて週前半に上昇しました。一方、日本銀行も金利を据え置き、インフレ見通しを引き上げたものの、利上げの示唆はなく、これが円安要因となりました。トランプ大統領は引き続きFRBに利下げを求める圧力をかけています。

金曜日には、予想を大きく下回る米雇用統計が発表され、市場が動揺しました。新規雇用者数は予想を下回り、過去の数字も下方修正されました。これにより、9月のFRBによる利下げの可能性が高まり、米ドルは急落。金は急上昇し、株式・原油・ビットコインはすべて下落しました。投資家は世界的な貿易摩擦と景気減速に対する懸念を強めています。
今週の市場動向
米国株
ダウ平均は先週、月曜日に新高値を付けたものの下落して引ける「キーリバーサルパターン」で始まり、その後毎日下落しました。通常の利益確定の売りから始まった下げは、金曜日に発表された弱い米雇用統計と新たな関税の発表を受けて、より強い売り圧力へと変わりました。短期的にはやや売られすぎの水準に見えますが、雇用統計や貿易摩擦の影響を判断するのはまだ難しい状況です。今週もボラティリティの高い展開が続きそうで、レンジトレードのチャンスが広がります。中期的なトレーダーは現水準での買いには慎重になるべきで、さらなる下落を待つか、短期反発後の売りが有効かもしれません。レジスタンスは44,000、44,500、45,000、サポートは43,000、42,000、41,750にあります。
日本株
日経平均は、7月23日の米日貿易合意による上昇をすべて打ち消し、重要な40,000円の水準まで下落しました。日本銀行が利上げに慎重な姿勢を維持し、円安が進んだものの、週末には米ドル/円と米国株の急落が日経平均を押し下げました。それでも10日移動平均線は依然として強気トレンドを維持しており、円がこれ以上強くならなければ、今週の反発も期待できます。レジスタンスは41,000円、42,000円、サポートは40,000円、39,200円、39,000円です。
ドル円(USD/JPY)
ドル円は先週、150円を超えて急騰し、日本政府内では懸念の声が上がりました。強い米経済指標と、FRBパウエル議長の利下げに慎重な姿勢がドルを支えた一方で、日本銀行は利上げまでにさらに時間が必要だと示唆し、上昇に拍車をかけました。しかし、予想外に弱い米雇用統計が発表されると、週末にかけてドル円は大きく売られ、上昇分をすべて失いました。今後もこの弱い米経済の流れが続くかは不透明ですが、今週は大きな経済指標の発表が少ないため、ドル円は広いレンジでの横ばいの展開が予想されます。米貿易交渉に関する悪材料が出れば、再び急落のリスクもあります。レジスタンスは148、149、150、サポートは147、146、145です。
金(Gold)
金は先週ほとんどの期間で売り圧力にさらされ、強い米ドルによってレンジ下限をテストする展開となりました。しかし、予想を大きく下回る米雇用統計を受けてドルが下落に転じたことで、安全資産としての金への買いが一気に強まり、週末には価格が上昇しました。貿易摩擦の再燃も金の需要を押し上げる要因となり、再び買いが入りました。金は下値が堅く、中期的には引き続き買い優勢と見られますが、短期的にはやや買われすぎの状態にあるため、調整が入る可能性もあります。レジスタンスは3,400ドルと3,450ドル、サポートは3,300ドルと3,250ドルです。
原油(Crude Oil)
原油は、米GDPが予想を上回ったことで需要期待が高まり、週中には70ドルのレジスタンスを一時上抜けました。しかしその後、トランプ大統領がカナダなどへの関税引き上げを発表し、加えて弱い米雇用統計が重なったことで、センチメントが一気に悪化。価格は再びレンジ中央付近まで押し戻されました。関税に対する懸念が上値を抑える可能性があり、65ドル付近の強いサポートを背景に、当面はレンジトレードが有効な戦略といえます。レジスタンスは70、75、80ドル、サポートは65、60ドルです。
ビットコイン(Bitcoin)
ビットコインは過去5日間、毎日下落し、6月以来最悪の5日間となりました。米国での暗号資産規制に関する議論が続いており、先行き不透明感から大口投資家が慎重になっています。さらに、FRBが利下げを先送りする姿勢を示したこともビットコインにとってはマイナス材料となりました。トランプ大統領による新たな関税発表と、弱い米雇用統計が市場の懸念をさらに強め、売り圧力が拡大しました。短期的にはさらなる下落も考えられますが、現在は売られすぎの状態にあり、反発の兆しが出れば短期トレーダーにとっては買いのチャンスとなる可能性があります。中期的には、米国の貿易政策や経済状況の明確化を待つのが賢明かもしれません。レジスタンスは120,000、125,000、150,000ドル、サポートは112,000、110,000、105,000ドルです。
今週の注目イベント
月曜日:米・製造業受注
火曜日:日本・金融政策決定会合議事要旨、日本・auじぶん銀行サービス業PMI、ユーロ圏・HCOB総合PMI、英国・S&Pグローバル総合PMI、米国・貿易収支、米国・S&Pグローバルサービス業PMI、米国・ISM非製造業PMI
水曜日:英国・S&Pグローバル建設業PMI
木曜日:豪・建築許可件数、豪・貿易収支、英国・イングランド銀行政策金利発表、米・新規失業保険申請件数
金曜日:日本・家計支出、日本・経常収支
今週は経済指標の発表が少ないものの、先週金曜日の急落に市場がどう反応するかが注目されます。木曜日にはイングランド銀行が0.25%の利下げを発表する見通しで、その他にも各国からPMIが発表され、世界経済の動向を探る手がかりとなるでしょう。
最大の注目は米国の貿易政策に集まりそうです。トランプ大統領は引き続き他国に自国に有利な条件で交渉を迫っており、関税や貿易交渉に関する新たなヘッドラインには要注意です。市場の不透明感が高まる中、強気派と弱気派の攻防によって、今週もボラティリティの高い展開が予想されます。
