Nick Goold
手堅いニック式取引戦略
月曜特別版
ニック・グールドがお届け
米国政府の閉鎖が史上最長となり、市場は静かな一週間となりました。政府閉鎖により市場心理が悪化し、重要な米国経済指標の発表も遅れました。米国株は、株価の過熱感や企業収益の鈍化懸念から下落しました。
新たなデータでも米国経済の弱さが示されました。チャレンジャー社の報告によると、10月のレイオフ(人員削減)は過去20年で最も高い水準に達し、多くの企業がコスト削減のためにAIを導入し始めています。消費者信頼感指数も2022年以来の低水準となり、多くのアメリカ人が景気減速を懸念していることが明らかになりました。

英国では、イングランド銀行(BOE)が政策金利を据え置きましたが、9人中4人の委員が利下げに賛成票を投じました。これは一部の委員が景気減速を懸念していることを示しています。一方、日本では、日銀の9月会合の議事要旨で、2人の委員が金利を0.75%に引き上げることを支持していたことが明らかになり、他国が利下げを検討する中で日本は徐々に引き締め方向へ向かう可能性が示唆されました。
今週のマーケット動向
米国株式
ダウ平均は先週、10日移動平均線を下回り、過大評価への懸念や米国経済の減速サインを背景に投資家が利益確定を進めました。現在この重要ラインを割り込んでいることから、短期的にはさらなる弱含みが続く可能性があります。レジスタンスは47,500、48,000、49,000にあり、サポートは46,500、46,000、45,500、45,000に位置しています。
日本株式
日経225は先週4%超下落しました。大きな下げのように見えますが、ここ数か月の力強い上昇を考えると、利益確定売りが出ても不思議ではありません。米国株の軟調も重なり、相場は下押しされました。日本政府は今月中にも景気を下支えする新たな経済対策を発表する予定であり、これが下落の抑制要因になる可能性があります。上昇トレンドが崩れた現在、今週はレンジ相場での取引機会を探り、ボラティリティの高さを活かす戦略が有効です。レジスタンスは51,250円、52,000円、53,000円、サポートは50,000円、49,000円、48,500円、47,000円です。
ドル円(USD/JPY)
ドル円は先週も上値を試す展開が続きました。日銀が利上げを見送ったことで円安が進行しましたが、片山さつき新財務相が円安への懸念を表明したことで、為替介入の可能性が意識され、週末にはやや反落して引けました。全体的には円安傾向が続く見通しですが、短期的には155円を超える動きは限定的とみられ、現状はレンジ取引に適した環境です。レジスタンスは154.5、155、156、サポートは153、151.5、151、150です。
金(ゴールド)
金相場は先週初めに下落したものの、3,900ドルのサポートを維持しました。その後は買いが戻り、10日移動平均線を上回って週を終えました。米国株と経済への懸念から買い意欲は今週も続くと予想され、相場は横ばいからやや上昇基調で推移し、4,050ドルを試す展開が見込まれます。レジスタンスは4,050ドル、4,150ドル、4,200ドル、サポートは3,925ドル、3,900ドル、3,800ドルです。
原油(WTI)
WTI原油は先週、60ドルの重要サポートを割り込み、米国の弱い経済データや中国の需要減退懸念が価格を圧迫しました。10日移動平均線も下向きに転じており、さらなる軟調が続く可能性があります。価格がこのラインを下回る間は、戻り売り戦略に注目すべきでしょう。レジスタンスは65ドル、66.50ドル、70ドル、75ドル、サポートは55ドルと50ドルです。
ビットコイン
ビットコインはリスク回避の流れが強まる中、10万6,000ドルの重要サポートを割り込み、テクニカルトレーダーによる売りが加速しました。個人投資家の買いは続いているものの、機関投資家はより慎重な姿勢を見せており、下落圧力が続いています。さらなる手仕舞い売りの可能性もあり、相場が10万6,000ドルを下回る間は、10日移動平均線付近での売り機会を探る方が賢明です。レジスタンスは10万6,000ドル、11万6,000ドル、12万ドル、サポートは10万ドル、9万5,000ドル、9万ドルです。
今週の注目ポイント
火曜日:日本 経常収支、英国 失業率、EU ZEW景況感指数
木曜日:オーストラリア 失業率、英国 GDP・鉱工業生産、米国 新規失業保険申請件数
金曜日:EU GDP・貿易収支
米国政府の閉鎖により重要な経済データの発表が遅れているため、トレーダーたちは投資家心理に注目しています。円がさらに下落すれば日銀による為替介入の可能性が高まる一方、金は最近の下落から回復できるかが注目されています。ビットコインは10万ドルの重要サポート付近で推移しており、高いボラティリティと急落リスクが続いています。
