Nick Goold
手堅いニック式取引戦略
月曜特別版
ニック・グールドがお届け
先週の市場は、米国のレイバーデーによる休場で静かに始まり、夏の取引シーズンの終わりを示しました。注目は米雇用統計で、予想を大きく下回る結果となりました。8月の雇用者数はわずか22,000人増にとどまり、予想の76,500人を大幅に下回りました。失業率は4.3%に上昇し、4年ぶりの高水準となりました。この弱い数字を受け、景気への懸念が高まり、今月後半の米連邦準備制度による利下げ観測が強まりました。週初に上昇していた米ドルも反落しました。
その他の経済指標はまちまちでした。米国のPMIは予想を下回り、景気減速を示しましたが、英国の小売売上高は予想を上回り、堅調な消費を示しました。
米国株式はほぼ横ばいで週を終えました。週初の上昇は利益確定売りと景気悪化懸念で抑えられました。一方、金は安全資産需要と利下げ観測を背景に過去最高値を更新しました。
今週の市場
米国株式
ダウは先週下落しました。弱い雇用統計を受けた景気懸念から利益確定売りが出ており、今月後半の米連邦準備制度による0.25%利下げを市場はほぼ織り込みました。夏の終わりらしい静かな展開でしたが、株価は横ばいから下落基調となる可能性が高いです。今週の米国インフレ指標は相場に変動をもたらす可能性があり、10日移動平均線などのテクニカル指標も下向きに転じており、予想外の材料がない限りさらなる利益確定売りが出やすい状況です。レジスタンスは45,750、46,000、47,000で、サポートは45,000、44,000、43,000です。
日本株式
日経平均は上昇基調を再開しました。ドナルド・トランプ米大統領が日本車輸入関税を27.5%から15%に引き下げる大統領令に署名したことが材料となり、外国人投資家の買いが続きました。関税引き下げを背景に日経平均は底堅い展開が予想されますが、米国株式が上値抵抗に直面しているため、今週はレンジ取引が最適とみられます。レジスタンスは43,000円、44,000円、45,000円で、サポートは42,000円、41,500円、41,000円です。
ドル/円
ドル/円は先週も横ばいで推移しました。週初は米国の自動車関税引き下げが好感され、抵抗水準に向かって上昇しましたが、その後の米雇用統計が予想を大きく下回り、追加利下げ観測が強まる中で水準を戻しました。146~149のレンジ取引が続くと見られ、今週の米国インフレ指標が短期的な売買機会を提供する可能性があります。レジスタンスは148、149、150で、サポートは146、145です。
金
金は先週も堅調で、投機筋や投資家による安全資産買いが強まり過去最高値を更新しました。弱い雇用統計を受けた米利下げ観測も需要を後押ししました。市場は依然として強いですが買われすぎの状態にあり、10日移動平均線付近まで下げた局面で買うのが良い戦略です。短期的には勢いが鈍れば積極的な投資家に売りの機会もあります。レジスタンスは3,600ドル、3,700ドル、3,800ドルで、サポートは3,500ドル、3,450ドル、3,400ドルです。
原油
WTIは先週下落し、OPEC+が増産目標を引き上げるとの観測から3カ月ぶりの安値を付けました。さらに、弱い米雇用統計を受けて景気減速による需要減への懸念から週末にかけて売りが強まりました。WTIはレンジ相場のままですが、短期的には60ドルのサポートを試す展開が有力であり、今週は売り戦略が有効と考えられます。レジスタンスは65ドル、70ドル、75ドルで、サポートは60ドル、55ドルです。
ビットコイン
ビットコインは先週安定しました。投機筋が買い戻した一方、112,000ドルの元サポートが抵抗として機能しました。ETF需要は以前より弱く、当面は下押し圧力が続き、横ばいから下落基調となる可能性があります。レジスタンスは112,000ドル、120,000ドル、125,000ドル、150,000ドルで、サポートは105,000ドル、100,000ドルです。
今週の注目
月曜日: 日本GDP、中国貿易収支
火曜日: 豪州NAB企業信頼感
水曜日: 中国CPI・PPI、米国PPI
木曜日: 欧州ECB政策金利、米国新規失業保険申請件数、米国CPI
金曜日: 日本鉱工業生産、英国GDP、英国鉱工業生産、独CPI、米国ミシガン大学消費者信頼感
今週は静かなスタートが予想され、米ドルと株式は狭いレンジで推移するでしょう。注目は米国インフレ指標で、予想外の結果が短期的な売買機会を生む可能性があります。金は引き続き焦点となり、過去最高値を更新できるか、利益確定売りで押し戻されるかが試されます。日本ではGDPが重要で、成長が日銀の利上げを支えられるかどうか注目されます。